さよなら渓谷。
吉田修一の『さよなら渓谷』を読み終えた。
読んでから、
『こんな小説が、映画かドラマになってないわけがない。』
と思って、調べたら、やっぱり映画になっていた。
早く調べすぎて、
自分でキャストを考えるのを忘れていた。
『かなこ』は真木よう子だった。
他のキャストには、興味がなかったけれど、
真木よう子というのは、
驚くほどぴったりなキャスティングだと感じた。
『かなこ』は、本当はかなこではない。
私も実は、本当はかなこではない。
私は、どうしてかなこという名前にしたのだろうか。
小説の中のかなこも、
どうしてかなことして、生きようと思ったのだろう。
人間は、長く生きていると、
色々なことを経験している。
そして、すごく生きにくくなった時、
生まれ変わったつもりで、
引っ越したり、知らない世界に行ったりと、
『やり直そう』
と思う時がある。
私は、小学生とか、中学生の時、
転校して、やり直したいと
何度も思ったことがある。
違う人間になる、あこがれ。
でも、そうではなく、
違う人間にならないと、
生きられないとしたら。
自分のことを、知らない人のところで、
生き直そうとしたら、
でも、誰かが調べる。
運悪く、事件に巻き込まれたりしたら、
知られたくない過去のことまで、
ほじくりだされて、
知らなかった人にまで、
知られてしまって、
なんて、生きにくい世の中なのだろうと思う。
人は、誰だって、
そんなに立派なことばかりして、
生きて来たわけではない。
人の道、だけを生きて来て、
何が楽しかろうか。
私は、そう思う。